◆なぜ離婚に別居期間が必要なのか
離婚には協議離婚と裁判離婚の2種類があります。
協議離婚とは、夫婦の合意により成立する離婚であり、離婚届を役所に提出することによって成立するものとなります。
裁判離婚とは、裁判や調停を経ることで裁判官に離婚を認めてもらうものとなっています。
裁判所に離婚の訴えを提起するためには、以下のような事情がなければなりません。
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
上記の1号から5号に該当する場合に限り、訴えを提起することができます。
離婚をしたいと思い、配偶者と話し合った結果、協議離婚が成立するのであれば、特に別居期間は必要とはなりません。
しかしながら、配偶者が離婚に応じてくれないような場合には協議離婚が不可能となるため、離婚の訴えを提起する必要が出てきます。
そして上記の通り、離婚の訴えを提起するには一定の条件があります。
そこで、別居期間の存在が一定の条件の1つとなるということです。
具体的には、5号の婚姻を継続しがたい重大な事由に当たるといえるでしょう。
◆離婚が成立しやすい別居期間
別居を口実に離婚する場合というのは、夫婦間に不貞行為や暴力はないものの、夫婦喧嘩が絶えず、性格の違いなどから離婚に踏み切るものが多くのパターンとなっています。
しかしながら、このような場合に裁判所から離婚が成立すると判断されるためには、客観的に見て夫婦関係が破綻していると言えなければなりません。
その判断の基準となる別居期間の相場が、5〜10年となっています。
もっとも、離婚となる原因を不当に作った配偶者(有責配偶者)は、離婚請求をすることが認められません。離婚の原因を作った側から離婚請求をすることが不合理であるからと言う理由です。
◆離婚を見据えた別居をする際に注意しなければならないこと
・別居する際には夫婦間で話し合いをする
夫婦の間には同居の義務が定められているため、配偶者に無断で別居を始めた場合には、同居義務違反とみなされ、離婚の訴えが認められなくなる可能性があります。
無断で別居を始めることが認められる場合は、DVなどの一刻を争うようなケースのみであり、無断の別居は「悪意の遺棄」として不法行為を形成するおそれがあります。
そして、不法行為を形成したと判断されてしまうと、離婚の原因を作ってしまったとされるため、より離婚が難しくなります。
・子どもの親権を獲得したい場合には、連れ去られないように注意する
別居時に子どもと一緒に暮らしていると、親権を獲得する上で有利に働く事情となります。
別居期間中に独占して子どもの世話をすることになるため、子どもをしっかりと監護してきたと判断されるからです。
配偶者が親権が欲しいと主張していた場合には、子どもが連れ去れてしまう可能性もあるため、子どもをなるべく1人にしないようにしなければなりません。
・別居期間中は異性との交際は控える
別居をしていると言っても、いまだに婚姻関係は継続している状態であり、異性と交際を始めてしまった場合には、浮気や不倫とみなされてしまい、離婚の原因を作ってしまうこととなります。
交際を全くしてはいけないということはありませんが、別居前から交際関係にあり、不倫のために別居を始めたと思われないようにしなければなりません。
稲坂将成法律事務所は、東大和市、東村山市、小平市、所沢市を中心に一般民事・家事事件を取り扱っております。東京都、神奈川県、埼玉県からもご相談を承っているため、離婚問題でお悩みの方は、お気軽に一度ご相談にお越しください。
離婚が成立しやすい別居期間はどのくらい?
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