公証人が関与して作成される公正証書は、高い証拠力と強制執行力を持ち、将来のトラブルを未然に防ぐ大きな役割を果たします。
本記事では、公正証書の基本的な仕組みやメリット、費用の目安について解説いたします。
離婚における公正証書とは?
離婚に際して取り決めた内容を文書にまとめたものが「離婚協議書」です。
その離婚協議書を法的効力のある形で作成する方法のひとつが、公正証書です。
公正証書は公証役場で作成され、公文書として厳重に保管されます。
そのため、紛失や改ざんのリスクも軽減され、安心して将来の備えとすることができます。
離婚協議書を公正証書にするメリット
離婚協議書を公正証書にする最大のメリットは、金銭の支払いについて「執行力」を持たせられる点にあります。
養育費や慰謝料などの取り決めを単に書面にしても、それだけでは強制力がなく、支払いが滞った際には改めて調停や訴訟などを起こす必要があります。
しかし、強制執行認諾文言付公正証書であれば、裁判を経ずに強制執行に移ることが可能です。
また、公正証書は公証人が関与して作成するため、証拠能力が高く、後々の「言った・言わない」といった争いを防ぐ効果もあります。
さらに、公正証書は正本と謄本がそれぞれ2通作成され、原本は公証役場に原則20年間保存されるため、紛失時も再発行が可能です。
こうした点からも、公正証書は離婚後のトラブルを予防し、安心を得るための有効な手段といえるでしょう。
離婚協議書を公正証書にする際にかかる費用
離婚協議書を公正証書にするには、公証役場での作成手数料が発生します。
離婚協議書に記された財産分与額や慰謝料、養育費などの価額に応じて、手数料が決まります。
- 100万円以下の場合、手数料は5000円
- 100万円を超え200万円以下の場合、手数料は7000円
- 200万円を超え500万円以下の場合、手数料は1万1000円
- 500万円を超え1000万円以下の場合、手数料は1万7000円
- 1000万円を超え3000万円以下の場合、手数料は2万3000円
※詳しい手数料については、日本公証人連合会のHPをご覧ください。
上記に加えて、公証人との打ち合わせや文案作成のために、弁護士などに依頼する場合は、別途報酬が発生することもあります。
まとめ
離婚に際して決める養育費や慰謝料などの取り決めは、将来的なトラブルを避けるためにも、明確に文書化しておくことが重要です。
その文書を公正証書にすることで、証拠力と執行力が大きく高まります。
将来の安心を得る手段として、公正証書の作成は非常に有効といえるでしょう。
離婚トラブルや離婚協議でお困りの際は、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。