未成年の子がいる場合の離婚の際には、親権者をどちらの親にするかを定めた上で離婚する必要があります。
こうした親権者を定めた場合、離婚当時は親権者として適していたとしても、その後の事情の変化などで親権者として不適当になってしまう場合もあります。
そこで、本記事では離婚後の親権者の変更について解説します。
親権者は変更できるのか
離婚時に定めた親権者を離婚後に変更する事は可能です。
ただし、親権者はあまり簡単に変えられるべきではないという法律の考え方があるため、協議離婚の際のように当事者の協議だけで変更するということはできません。
親権者の変更は子どもに大きな環境の変化をもたらすため、精神的にも大きな負担を強いることにもなります。
そのため、当事者の協議で簡単に変えるといったことができない仕組みになっているのです。
親権者変更の手続き
親権者変更は、親権変更調停という手続きを利用する必要があります。
親権変更調停の特徴は他の離婚調停などと異なり、親権について両親の間で合意が得られたとしても、子どもの福祉の観点から家庭裁判所調査官が調査を行います。
調査の内容としては家庭裁判所調査官が、親や子どもと面会したり、家庭訪問や学校訪問などを行います。
子どもの現状について調査を行い、子どもの福祉の観点から親権者を変更すべきかなどについて調査を行うのがその趣旨です。
親権者をどちらにするかについてまとまらず調停が不成立となった場合には、家庭裁判所が親権変更審判を行い、親権者の変更の可否について判断します。
親権者を変更できる場合
では親権者はどのような場合に変更ができるのでしょうか。親権者の変更が認められるケースとしては以下の様なものがあります。
- ①親権者が子どもを虐待している場合
- この場合には親権者を変更する方が子どもの福祉にかなうと考えられるため、親権者の変更が認められやすい傾向にあります。
- ②親権者が恋愛等にのめりこんで世話をしない場合
- この場合にも子どもの世話が満足にされておらず、子どもの生活環境が良好でないため、親権者の変更が認められやすい傾向にあります。
子どもが15歳以上の場合の注意点
子どもが15歳以上の場合には親権者変更審判に当たっては、必ず子どもの意見を聞かなければならないこととなっています。
家庭裁判所は、子どもの意思を重要視する傾向にあるため、15歳以上の子どもの親権を変更し獲得したい場合には、日頃から子どもとコミュニケーションを取っておき、子どもが親権者になってほしいと考えるように振る舞うことが重要となります。
離婚に関する問題は稲坂将成法律事務所にご相談ください
一度決めた親権者を変更する事は可能ですが、そのハードルは決して低いものではありません。
親権者の変更でお悩みの方は稲坂将成法律事務所へご相談ください。