交通事故の被害に遭った場合に休業損害を請求することができます。
本記事では、休業損害の計算方法や学生や主婦でももらえるのかといったことについて解説をしていきます。
◆休業損害とは
休業損害は、交通事故の怪我により会社を休んだ結果、得られることのできなかった給料のことを指し、加害者に請求できるものとなっています。
交通事故が仕事中に発生したものであれば、休業補償を労災保険から受け取ることができますが、プライベートで発生してしまった事故や、専業主婦、学生の場合には、加害者に休業損害を請求することで補填することとなります。
休業損害の内容は、計算に用いる基準、仕事を休んだ日数、事故前の収入によって上下することとなります。
また、専業主婦の場合には給与がありませんが、家事ができなくなった場合には、その分の休業損害を請求することができます。
学生の場合には、働く意思があり、就職できる可能性が高い場合には休業損害を請求することができます。
また、休業損害はよく逸失利益と混同されることがあります。
休業損害は、交通事故から怪我の症状が固定するまでの期間中に、休業により得られなかった給与の請求をするものです。
それに対し、逸失利益は症状固定後に被害者が将来得られたであろう、経済的利益のことを指します。
症状固定とは、これ以上治療を続けても、現在の症状から改善する見込みがない状態のことを指します。
◆休業損害の計算方法
休業損害に限らず、交通事故の慰謝料や後遺障害の慰謝料には3つの基準があります。
●自賠責保険基準
相手方が任意保険に加入していなかった場合には、この自賠責保険基準が適用されることとなります。
3つの基準の中でもっとも低い額の基準となっており、最低限の補償という位置付けでしかないため、被害者の方は十分な救済を得ることができません。
また、この基準の場合には、1日あたりの収入の上限が19,000円に設定されているため、それ以上の収入がある方としては損をしてしまう可能性があります。
●任意保険基準
相手方が任意保険に加入している場合には、任意保険基準が適用されることになります。
具体的な計算方法は、保険会社によって異なり、またその計算方法も公開されているものではないため、具体的な額の提示をすることはできません。
位置付けとしては、3つの基準の中で中間の額になるものと理解しておけば十分でしょう。
任意保険会社は基本的に相手方の味方であるため、被害者に不利な条件で交渉をすることが多くなっています。
そのため、任意保険基準であっても十分な救済が得られる可能性はそこまで高くありません。
保険会社にもよりますが、計算方法としては会社員の場合には、事故前3ヶ月の収入を90日で割った金額×休業日数が計算式となっていることが多くなっています。
専業主婦の場合には、6,300円×休業日数となります。
●弁護士基準
3つの基準の中でもっとも高額なものがこの弁護士基準となっています。
示談交渉を弁護士に依頼した場合には、弁護士が過去の裁判例から依頼者の被害状況や事故状況と似た事例を探し出し、そこで判決によって命じられた額を基準に交渉をすることとなります。
そのため裁判所基準とも呼ばれています。
相手方の任意保険会社は、被害者に対して強固な姿勢を貫くことが多いため、なかなか交渉がうまくいかなかったが、弁護士に交渉を依頼するとすぐにこちらの条件に応じたというケースは少なくありません。
弁護士基準での休業損害の金額は、基礎収入の1日あたりの金額×休業日数となっており、任意保険基準では過去3ヶ月の収入を90日で割るのに対し、弁護士基準の場合には、実際に働いた日数で割るため休業損害の金額が大きくなります。
もう少し詳しく説明すると、完全週休2日制の会社で働いており、1ヶ月を30日として計算すると、実際に働いているのは22日間であり、その3ヶ月分は66日しかないにもかかわらず、任意保険会社は90日で割ることで1日あたりの給与を計算することになるため、金額が低くなってしまうということです。
また、専業主婦の場合には、弁護士基準では女性の平均賃金を元に計算することとなり、令和3年の女性の平均賃金から割り出される基礎収入額は10,573円となります。
稲坂将成法律事務所は、東京都東大和市を中心に周辺地域の法務を取り扱っております。
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交通事故の休業損害の計算方法|主婦や学生でももらえる?
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