現在離婚に向けて話し合いをしているが、話し合いが進まないため、困っているという方からのご相談を多くいただきます。
離婚の形態には3つの種類があり、協議離婚、調停離婚、裁判離婚となっています。
離婚に向けた話し合いは協議離婚とよばれる形態に該当します。
本記事では、離婚の話し合いが進まない場合の対処法を詳しく解説していきます。
◆協議離婚とは
協議離婚とは、夫婦間で離婚の条件等について話し合い、双方が合意の上で離婚届に記入し、役所に提出することで成立する形態の離婚です。
上記で示した通り、この形態での離婚は夫婦双方の合意がなければ成立しないものであり、お互いに条件に納得ができない場合には、話し合いが平行線となってしまい、なかなかうまくいかなくなります。
揉める原因としては、慰謝料の額や財産分与、親権などが挙げられます。
協議離婚はいつまでに成立させなければならないといった決まりはありませんが、話し合いが進まないことには、離婚も成立しません。
また、話し合いが長引くことによって、より両者の仲が険悪になってしまう可能性があります。
◆離婚の話し合いが進まない場合には
離婚の話し合いが進まない場合には、裁判所を利用することで解決を図ることとなります。
もっとも日本では調停前置主義という考え方があり、調停を経なければ裁判をすることができないということが法律で定められています。
そのため、まずは家庭裁判所に離婚調停を申し立てることとなります。
離婚調停とは、調停委員を交えた上で当事者同士で話し合いを進めるための手続きとなっています。
調停委員はあくまで中立的な立場であるため、どちらか一方の味方をするということはありません。
また、夫婦の状況によっては顔を合わせたくないといったことも考えられます。このような場合には、夫婦はそれぞれ別室にて、自身の主張を調停委員に伝えることで、話し合いを進めていくことになります。
もしここでも離婚の条件に双方が合意をしなかった場合には調停が不成立となり、その後は離婚訴訟を提起することとなります。
◆弁護士に相談するタイミング
協議離婚がうまくいかず、離婚調停を申し立てることを検討し始めた段階で一度弁護士に相談をすることをおすすめしています。
弁護士は代理人として話し合いを進めることができるため、感情的になることなく交渉をすることができます。
また、特に金銭面で話し合いがこじれている場合には、弁護士が過去の裁判例などから、現実的な条件を提示することが可能となっています。
そして、協議が成立した場合には、そのまま弁護士が離婚協議書や公正証書をまとめ、後になってトラブルが発生することを防ぐところまでのサポートもしてくれます。
ここでどうしても話し合いがうまくいかない場合には、そのまま離婚調停に移すこともできます。
ここでも依頼した弁護士がサポートをしてくれ、裁判に発展した場合であってもそのまま裁判に一緒に出席し、サポートをしてもらうことが可能となっています。
◆裁判まで発展してしまった場合
離婚訴訟を提起することになった場合、離婚の理由が重要となります。
裁判離婚の場合には、民法770条に規定されている法定離婚事由に該当する事実がなければ、離婚が認められません。
以下で詳しく解説をしていきます。
①相手に不貞行為があった
不貞行為とは、夫婦の一方が配偶者以外の異性と性的な関係を持つことを指します。相手の不貞行為が理由で婚姻関係が破綻した場合には、法定離婚事由に該当すると判断されます。
もっとも不貞行為と婚姻関係の破綻に因果関係が認められない場合には、法定離婚事由に該当しないと判断されることがあります。
また、不貞行為があったという証拠もしっかりと提出しなければなりません。
②相手から悪意で遺棄をされた
悪意による遺棄とは、配偶者が正当な理由なく同居協力扶助義務を果たさないことを言います。
家を追い出したり、逆に理由なく家を出たりするような行為が該当します。
また生活費を渡さない行為などもこれに該当します。
③相手が3年以上生死不明である
配偶者が消息を絶ってから3年以上生死不明の場合には、法定離婚事由に該当します。
④相手が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
精神病の回復の見込みについては、裁判官が精神科医の診断を参考に判断することとなります。
また、離婚が認められるためには、配偶者の離婚後の生活に目処が立つことも判断の基準となります。
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある
上記以外のもので、夫婦関係を破綻させるものであり、夫婦生活を継続することが難しいような事情がある場合には、これに該当します。
具体的には、DVやモラハラ、過度の借金、長期間の別居などが挙げられます。
離婚に向けての話し合いがうまく進まずお困りの方は、第三者であり手続きのプロである弁護士にお任せください。
稲坂将成法律事務所は、東京都東大和市を中心に周辺地域の法務を取り扱っております。
離婚、交通事故、相続、借金問題などを中心に、皆様からのご相談を承っております。お悩みの方は一度ご相談にお越しください。
離婚の話し合いが進まない場合はどうする?適切な対処法を解説
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