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離婚時の年金分割制度とは|計算方法や手続き方法など解説

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離婚時の年金分割制度とは|計算方法や手続き方法など解説

◆年金分割制度とは
夫婦が離婚した際には、夫婦間で共同で築いた財産(共有財産)を財産分与という方法によって、均等に2人に配当を行います。

そしてあまり知られていませんが、共有財産の内訳には年金も含まれています。そのため、離婚をした場合には、婚姻期間中の厚生年金を分割し、それぞれ自分の年金とすることができます。この分割では厚生年金の保険料納付記録を参照し、納付の多い方から少ない方へと分割するものとなっています。

これを年金分割制度といいます。
年金分割制度の対象はあくまで厚生年金であり、国民年金は分割の対象には含まれません。
また厚生年金の対象も夫婦のいずれか、または2人が第2号被保険者の期間があった場合のみとなっています。

◆年金分割の方法は2つある
年金分割には「合意分割」と「3号分割」に分かれており、それぞれ適用される条件や請求方法が異なります。

合意分割とは、夫婦の合意によって行われる年金分割です。合意に至らなかった場合には、家庭裁判所に調停や審判の申し立てをして年金分割をすることができます。年金分割の割合も合意によって決めることができますが、上限が5割となっています。

3号分割とは、夫婦のどちらか一方が第3号被保険者である場合に適用される年金分割です。夫婦のどちらか一方が第3号被保険者である場合とは、専業主婦(主夫)がいる場合を指します。
これは配偶者の合意なしで分割されるものであり、分割割合も5割と決められています。

◆年金分割の計算方法
年金分割の計算方法は夫婦共働きの場合と専業主婦(専業主夫)の場合とで変わってきます。

・共働きの場合
①夫と妻の対象期間標準報酬総額の合計を出す
夫1.5億円+妻0.5億円=2億円

②按分割合50%として夫婦それぞれの対象期間標準報酬総額を出す
夫2億円×50%=1億円
妻2億円×50%=1億円

③分割後の夫婦それぞれの老齢厚生年金額を出す
夫1億円×5.481/1000=548100円
妻1億円×5.481/1000=548100円
※5.481/1000は昭和21年4月2日以降に生まれた人の乗率

・専業主婦(専業主夫)の場合
①夫と妻の対象期間標準報酬総額の合計を出す
夫1.5億円+妻0円=1.5億円

②按分割合50%として夫婦それぞれの対象期間標準報酬総額を出す
夫1.5億円×50%=7500万円
妻1.5億円×50%=7500万円

③分割後の夫婦それぞれの老齢厚生年金額を出す
夫7500万円×5.481/1000=411075円
妻7500万円×5.481/1000=411075円

◆年金分割の請求方法
合意分割の場合には、年金分割に必要な情報を確認するために「情報通知書」を請求します。請求者は当時者2名で、合意がまとまっている場合には合意分割の公正証書といった取り決め書類が必要となります。
合意がまとまらず裁判所に年金分割を申し立てた場合には、調停証書などを用います。

3号分割の場合には、請求者は当事者のどちらか1人で構いません。

請求先は年金事務所であり、「標準報酬改定請求書」に必要書類を添えて提出をします。

合意分割の必要書類
・年金手帳、基礎年金番号通知書またはマイナンバーカードなど
・婚姻期間などを明らかにできる書類(戸籍謄本、戸籍の全部事項証明書など)
・請求日前1ヶ月以内に作成された、2人の生存を証明できる書類(戸籍謄本、戸籍の全部事項証明書など)
・年金分割を明らかにできる書類(年金事務所備え付けの様式、公正証書の謄本、審判書の謄本など)
・請求者の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)

3号分割の必要書類
・年金手帳、基礎年金番号通知書またはマイナンバーカードなど
・婚姻期間などを明らかにできる書類(戸籍謄本、戸籍の全部事項証明書など)
・請求日前1ヶ月以内に作成された、2人の生存を証明できる書類(戸籍謄本、戸籍の全部事項証明書など)

稲坂将成法律事務所は、東大和市、東村山市、小平市、所沢市を中心に一般民事・家事事件を取り扱っております。東京都、神奈川県、埼玉県からもご相談を承っているため、年金分割でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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