モラル・ハラスメント、いわゆるモラハラとはなんでしょうか。
夫婦関係の事件では、頻繁にモラハラという言葉が使われますが、この言葉自体が法的な概念ではないため、法律の世界ではあまり意味のない言葉であると考えています。
当事者が「モラハラ」との主張をすることはありますが、裁判所が「モラハラ」という評価をすることはあまりありません。
なぜなら、法的な判断としては「モラハラ」かどうかではなく、結局は、相手の人格を侵害する違法な行為があったかなかったかが問題であるためです。
人格権侵害の態様は様々です。考えられる例として、
・他人の前で馬鹿にする。
・怒鳴るなどの威圧的な態度で相手を支配する。
・常に不機嫌な態度で相手に気を遣わせて支配する。
・子どもの前で悪口を言うなど、相手に対する悪感情を抱くように仕向ける。
・子どもを独占し、相手を疎外する。
などがあります。
自身の人格権が配偶者によって侵害されていると感じたら、その具体的な行為やその行為がどのように自身を苦しめたのか、など説明することが望ましいです。
また、可能な限り録音等の証拠があることが求められます。
精神的な侵害行為というのは、第三者からは曖昧な面があり、夫婦双方が「モラハラだ」「精神的DVだ」などと主張していることは多いです。
そのため、具体的な事実としていったい何があったのか、正確に説明し可能な限りの証拠を提出することが必要です。
なお、夫婦間の争いでは、いかに相手が酷かったかという点を訴える方が多いのですが、
実際は紛争の過程では、現に子どもがどちらといるか、あるいは、どちらが生活費の負担を強制されるか、などが大きく影響します。
これらの状況次第では、たとえ、夫婦の間で苦しめられた側の当事者であっても、さらに苦しい理不尽な状況の置かれることもあります。
そのような中でも事実関係の正確な説明と証拠は自身を救うこともありますので、諦めずに向き合うことが大切です。
稲坂将成法律事務所は、東京都東大和市・東村山市・小平市、埼玉県所沢市などを中心に、東京都、埼玉県、神奈川県の離婚にまつわるご相談を承ります。調停離婚や裁判離婚の際の交渉や、婚姻費用・財産分与・養育費等の離婚とお金にまつわるご相談、子供との面会交流・引渡しに関するご相談など、様々なお悩みにお応えしていきますので、離婚問題でお困りの際は、当事務所までご連絡ください。
モラハラで離婚する場合、慰謝料は請求できる?
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