養育費の金額はどのように決まるのでしょうか。以下説明します。
①養育費に充てられる収入
養育費の基本的なイメージは、ある一つのパイを養育費を支払う親と対象となる子供全員で分け合うというものです。最初に、そのパイ全体の大きさを決めるのが、親の収入です。
自営業者と給与所得で収入の捉え方は違うのですが、給与所得者を例にあげると、総収入のうちの決められた割合が「パイ」となります。
この割合は収入の金額によっても変わり、同じ給与所得者でも高収入の方が「パイ」となる割合は低くなります。だいたい4割くらいとイメージするとよいです。
②子供の人数
一つのパイを分け合う形のため、対象となる子供の人数が多くなると養育費を支払う親が得る割合が小さくなりますから、全体として養育費は高くなります。ただし、たとえば、子供2人のときが子供1人の時の倍になるわけではありません。むしろ、子供が多い方が子供1人あたりの養育費は低くなります。
③子供の年齢
子供がパイから得る割合は年齢によって変わります。通常15才以上になるとこの割合が高くなると解されています。そのため、15歳以上の子供がいると養育費は高くなります。
④具体例
では、具体的に、養育費を支払う親の年収が600万円であった場合には、大体いくら支払わなければならないでしょうか。いくつかの場合に分けて列挙します。なお、下記の金額は、すべて養育費請求権者の年収が0円としています。
①子供が1人(0才〜14才)
・給与所得者の場合は、6万円〜8万円
・自営業の場合は、8万円〜10万円
②子供が1人(15才以上)
・給与所得者の場合は、8万円〜12万円
・自営業の場合は、10万円〜14万円
③子供が2人(第一子第二子どちらも0才〜14才)
・給与所得者の場合は、10万円〜12万円
・自営業の場合は、14万円〜16万円
④子供が2人(第一子が15歳以上、第二子が0才〜14才)
・給与所得者の場合は、12万円〜14万円
・自営業の場合は、14万円〜16万円
⑤子供が2人(第一子第二子どちらも15歳以上)
・給与所得者の場合は、12万円〜14万円
・自営業の場合は、16万円〜18万円
以上が、子供が2人の時の養育費の相場です。以上のような養育費を請求する親が子供全員を完全に養育しているケースについては、裁判所が公表している算定表で金額を計算することができます。
ただ、本来親の養育負担は養育の喜びの中でなされるものです。当事務所としては、片方の親が一人で全ての子供の養育を負担することは本来例外的な事態だと考えています。兄弟姉妹がいるケースではそれぞれの特性に応じて同居する親や居住環境を選択していくことになりますし、別居している親も、一定期間子どもを宿泊で預かるなど養育負担を担うことだってできます。まずは、養育費の問題以前に、親同士が対等に子を養育するスタイルを決定していくべきであり、これによってはじめて、実際の養育行為分担と費用の分担が納得のいくものに近づくはずです。別居する両親がそれぞれ別の子を監護するケースや共同養育を行っているケースでは様々な計算の仕方があり、算定表では計算が難しくなります。このような場合もご相談下さい。
稲坂将成法律事務所は、東京都東大和市を中心に、東村山市や小平市、埼玉県所沢市にて、みなさまからのご相談を承っております。
お客様が抱える不安や心配を取り除けるよう、親身にお話しをお伺いし、納得いく解決へ導きます。
養育費の相場は年収600万だといくら
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