交通事故の示談交渉においては、加害者本人と被害者本人が直接交渉するようなケースはほとんどありません。
現在では、多くの方が万が一の交通事故に備えて、任意保険に加入しているため、加害者側は、加害者が加入する任意保険会社の担当者が示談交渉を代行することがほとんどです。一方、被害者側は、被害者本人が示談交渉に対応することもありますし、交渉を得意とする弁護士が被害者に代わって示談交渉に対応することもあります。
一見すると、交通事故の被害にあったときには、弁護士に示談交渉を依頼せずに自分で示談交渉をした方が、かかる費用が少なく済むように思います。しかし、実際には、被害者本人が示談交渉するよりも、弁護士が示談交渉をした方が慰謝料の増額が見込まれ、結果として被った損害を適正に回収することができます。
この弁護士が被害者本人の交渉よりも高額な慰謝料を請求できる背景には、示談交渉の場において用いられる示談金の算定基準の違いがあります。示談金の算定基準には、「弁護士基準(裁判所基準)」・「任意保険基準」・「自賠責基準」の3種類があり、それぞれ見込まれる示談金の金額が異なるのです。
以下、3つの算定基準を順番に説明します。
■弁護士基準(裁判所基準)
弁護士基準とは、過去の判例(裁判所で過去に出た判決)などを基に算定される示談金の基準です。交通事故の民事訴訟ではこの算定基準が用いられるため、弁護士が示談交渉を行う際にはこの基準を用いて交渉を行います。
3つの算定基準の中で最も高額ですが、弁護士が示談交渉を代行せず、被害者本人が示談交渉を行う場合には、この算定基準での示談金獲得は極めて難しいといえます。
■任意保険基準
任意保険基準とは、任意保険会社が算定する際に用いられる示談金の基準です。被害者と任意保険会社が示談交渉をした場合には、一般的にこの基準額が用いられます。
3つの算定基準の中では、中間の金額の算定基準ですが、加害者が任意保険に加入しており、被害者と加害者側の任意保険会社が交通事故の示談を直接行う場合には、この基準での示談金額となるのが一般的です。
■自賠責基準
自賠責基準とは、車を運転する方が必ず加入している自賠責保険によって損害賠償額を算定する際に用いられる示談金の基準です。交通事故の加害者が任意保険に加入していないようなケースでは、この基準が用いられることもあります。
3つの算定基準の中では、最も低価格の算定基準であり、交通事故被害者保護のために必要な最低限の補償しか受けることができません。
なお、示談交渉においては、示談金の金額はもとより、警察が民事不介入で対応してくれない「過失割合」などの事項について、当事者同士で争いになることがあります。
稲坂将成法律事務所では、東大和市・東村山市・所沢市・小平市を中心に、さまざまな交通事故(物損事故・人身事故・死亡事故)に関するご相談を承っております。判例に基づいた示談金の算定や、後遺障害等級認定申請、自賠責保険の被害者請求、加害者の行政処分・罰金や刑罰に関する疑問、示談書の作成などあらゆる交通事故解決手法に精通しておりますので、交通事故でお悩みの際には当事務所までお気軽にご相談ください。
示談交渉
稲坂将成法律事務所が提供する基礎知識
-
交通事故の休業損害の計...
交通事故の被害に遭った場合に休業損害を請求することができます。 本記事では、休業損害の計算方法や学生や...
-
協議離婚
■協議離婚とは 協議離婚とは、夫婦間の話し合いによって離婚条件を決定する方法です。これには弁護士などの...
-
離婚後の氏と戸籍
■離婚の効果 ■苗字の変更 離婚によって姻族関係が終了します。(民法728条1項)原則として婚姻前...
-
物損事故
物損事故とは、車同士の衝突事故や単独事故など、あらゆる交通事故の中でも、人がケガをしたり死亡することな...
-
不貞行為(浮気)
■不貞行為とは 不貞行為とは、妻あるいは夫以外の人と肉体関係を持つことをいいます。肉体関係があれば、1...
-
【弁護士が解説】信号無...
信号無視は交通違反であり、交通事故が発生した時の損害賠償金額を左右する過失割合の加算対象になります。...
-
親権と監護権
親権者は、子供の「身上」と「財産」に関する権利義務を有しています。前者は子の身の回りの世話養育に関する...
-
交通事故における示談書...
◆示談書の効力と必要性 交通事故が起きたときには、被害者は加害者に対して、民法の不法行為に基づいて損害...
-
遺留分減殺請求
遺留分とは法律の定めによって相続人が相続できる最低限の割合のことです。遺言書を作成すれば法定相続人以外...